Ribbon Washi
product/exhibition

<風呂敷とラッピングペーパーを併せ持った和紙>

「JAPAN CREATION 〜Paper x Design x Technology〜」というイベントに10組のデザイナーやグループが選ばれ、その中のひと組として招待され参加しました。お題は紙製品。

自分たちで紙もののブランドを運営していたこともあって、すぐにラッピングペーパーで何か作ろう、と思いつきました。そこでイベント主でもある紙問屋TAKEOさんに相談したところ、いろいろな製紙のテクニックを見せてもらいました。その中に、糸を漉き込んむテクニックがありました。おっこれだ!と、直感的にギフト仕立てにリボンを漉き込んだ和紙を作ろうと思い立ちました。

ラフと模型を作って試しに何度も包んで、リボンの量や配置、表情の出方などを試行錯誤。四隅からリボンを飛び出させて結べるようにしたり、途中でも飛び出しを作ってリボンが漉かれている状態を強調するような仕掛けにしたり、ぐるっとまわるく模様を描いたり、蝶々結びを作って浮かび上がらさせたり。試作を重ねていくと、もちろん包んだ状態が仕上がりとして気になるところだけど、ラッピングペーパーのデザインしかり、和紙の全面の見た目から包装へ移り変わった様が楽しいなと思い、展示の時は広げたままの状態とシンプルなボックスや一升瓶を包んで並べてディスプレイしようとなりました。私たちはこのイベントに向け、風呂敷とラッピングペーパーを併せ持ったような和紙を制作することにしました。

担当の方に、実際の製作に向け試作をプレゼンテーションし、仕様やリボンのサイズ、厚みなど、話し合いながら手漉きで作ってくれる和紙工房を探していただきました。ただ、印刷物のようには行かないので、私たちも工房で職人さんと一緒に作ることに。イメージしているものに100%仕上がるかは実際にやってみないとわからないけど、技術的にはできます、と心強い返事をいただきました。いずれにせよ、本格的な和紙作りを見るのは初めてだったので興味津々、工房のある越前へ行くことへ。当日は気温40度超えの極暑だったのを思い出します。

到着すると挨拶もそこそこにすぐに工房へ。すでに職人さんが手漉き和紙の準備をしてくれていました。まずはベースとなる木枠に和紙の原液を流しこみ薄い外面(下層)部分を形どり、その上にリボンを一つ一つ配置していきます。最後にまた液体を流し込んでリボンを漉き込んでいく(サンドウィッチする)といった工程で進めます。途中重なる部分などは職人さんの判断で、乾燥して割れたり、裂けたりしないよう補強の液体を適度に足していきます。私たちもデザイン試作を並べ広げ、その場でリボンの配置をもう一度しなおしていきました。初めての試みでしたが、作業は順調に進みました。

越前和紙の起源は1500年前からとも言われていて、途中紙漉きの神様が祀られている岡太神社へ連れて行ってもらいました。境内は不思議と冷んやりとして心地よく極暑をすっと忘れるくらいでした。私たちの和紙漉きもうまくいきますよう、願掛けをしました。

東京に戻って数日後、乾燥した和紙が出来上がって送られてきました。想像をこれる出来栄えでびっくり、イメージの100%以上で、何か贈り物でももらったように嬉しかったです。少し無理を言って作っていただいた和紙メーカーさん職人さん、和紙漉きの神様に感謝です。

Produced by TAKEO
August 2010